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―第一話~第七話― ア行 幻想殺し(イマジンブレイカー) 初春飾利(ういはるかざり) 電撃使い(エレクトロマスター) 大村次郎 丘原燎多(おかはらりょうた) お姉様(おねえさま) カ行 介旅初矢(かいたびはつや) 帰様の浴院(かえりさまのよくいん) 学園都市(がくえんとし) 鞄の少女 上条当麻(かみじょうとうま) 缶ジュース 木山春生(きやまはるみ) 釧路帷子(くしろかたびら) 虚空爆破事件(グラビトンじけん) 透視能力(クレアボイアンス) ゲコ太 固法美偉(このりみい) サ行 佐天涙子(さてんるいこ) 身体検査(システムスキャン) 風紀委員(ジャッジメント) 白井黒子(しらいくろこ) 量子変速(シンクロトロン) セブンスミスト タ行 第一七七支部 超能力(ちょうのうりょく) 超能力者(ちょうのうりょくしゃ) 空間移動(テレポート) 常盤台中学(ときわだいちゅうがく) 常盤台中学学生寮(ときわだいちゅうがくがくせいりょう) 常盤台中学内伝 おばーちゃん式ナナメ四五度からの打撃による故障機械再生法 ナ行 能力者(のうりょくしゃ) ハ行 発火能力(パイロキネシス) 発火能力者(パイロキネシスト) 書庫(バンク) ビリビリ ファミレス マ行 学舎の園(まなびやのその) 御坂美琴(みさかみこと) 水穂機構病院(みずほきこうびょういん) 森本二人 ラ行 雷撃の槍 超電磁砲(レールガン) 強度(レベル) 幻想御手(レベルアッパー) 超能力者(レベル5) A~Z AIM拡散力場 Bennys Joseph s Seventh mist
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ウソと魔法と素直な気持ち 2 翌日、上条が通う高校の最終時限。 上条は昨日の夜から起こったことを思い出しながら授業が終わるのを待っていた。 まずは昨晩。 昨晩は美琴と付き合うことになったと報告した際、半狂乱になったインデックスにめちゃくちゃに噛みつかれた。 ちゃんとご飯の用意は今まで通りするからと約束したにもかかわらず、である。 なぜあそこまでインデックスが怒るのか上条にはまったくわからなかった。 結局その後インデックスに一言も口をきいてもらえないまま家を出た上条だったが、今度は学校が大変だった。 土御門達から「美琴と婚約している」という話が学校中に知れ渡っていたらしく、クラスメートどころかクラス、学年問わず様々な人からの質問攻めにあったのだ。 なぜか男子より女子からの質問が多かったのだが、やはり自分みたいな無能力者が常盤台のお嬢様と付き合うことを気に入らない人は多いんだな、と上条は質問を適当にかわしながら考えていた。 そこまで思い出したとき、ようやく授業終了のチャイムが鳴った。 放課後になると同時に教室から脱出した上条は校門を出ると、美琴との待ち合わせ場所であるいつもの自販機前に向かおうとした。 しかしその必要はなかった。 校門を出たあたりで昨日と同じように美琴が飛びついてきたからだ。「うわ、みさ、美琴! 急に飛びつくのはよせよ。落っことしたらどうするんだ」 口ではそう言いながらも美琴をしっかりと抱きしめた上条。「だ、だって、当麻を見たら我慢できなくなって……」 それに対し、真っ赤にした顔を上条の胸に埋める美琴。 本人達の意識はともかく、どう見てもバカップルである。 上条は美琴の行動をたしなめようとした。 天下の往来、しかも学校の前であまりベタベタするのもどうかと思ったのだ。「そ、そうか。でもさ美琴、やっぱりちょっと、というかかなり恥ずかしいからあんまりこういうのは」「これでいいの。だって、こうでもしないと諦めない人たちがいるんだから……」「え?」「なんでもない。行こう当麻!」 上条は気づいていない。 美琴の視線は上条ではなく、遠くから辛そうに上条を見つめていた彼のクラスメートの女子達を捕らえていたことに。「それで、今日はこれからどうするんだ?」 上条は隣を歩く美琴に聞いた。 ちなみに美琴は上条に腕を絡ませており、その際上条の腕に体を、特に慎ましいながらもきちんと自己主張している胸を押しつけるようにしているため、上条は鋼の理性を発揮して必死に意識を他に向けていた。「うーん、とにかく時間はいっぱいあるんだし、今日はこの辺を散歩するだけで私は満足よ」「そうか。それから悪いんだけどさ、腕、離して下さいませんか美琴様」「なんで?」 上条の葛藤には気づいているけどもちろん美琴はそしらぬ顔。 むしろ気づいているからこそますます胸を押しつけるため事態は悪くなる一方である。「ですからとっても柔らかい物が気持ちよくてむにっとしてなんかよくわからんがまろやかな気もして、それでもって甘い香りまでしてきて美琴さん、あなたなんの香水つけてるんですか。とにかく上条さんはいろんな物が暴走しそうで大変でブレイク限界、なぜか黄金に輝く正義のヒーローに変身できそうなくらいテンパってるんですよ」「嫌」「そうですか……」 わかりきっていた答えではあったので上条は小さくため息をつきながら、自らの鋼の理性が効果を発揮し続けてくれるのをひたすら祈り続けた。「ところで、白井の奴はどうしたんだ? アイツの性格なら邪魔しに来ても不思議はないんじゃないか?」 上条はきょろきょろと辺りを見回しながら美琴に尋ねた。 美琴と付き合うとなると最大の障害になりそうな白井がまったく姿を現さないのが不思議だったのだ。「黒子? 頭痛で寝てるわよ」「頭痛? 白井が? 信じられないな」「本当よ。昨日の夜、アンタと付き合うって教えてあげてその後ずっとアンタのこと話してたら、今朝になって頭が割れるように痛くて起きられませんって」「それはまた、大変だったな……」 白井が姿を現さない理由はよくわかった。 彼女が本当に病気なのか仮病なのかはわからないが、夜通し憧れのお姉様にその彼氏の惚気を聞かされれば白井でなくとも病気にくらいなるだろう。 上条は草葉の陰で眠る白井にそっと心の中で手を合わせた。 その後二人は他愛もない話をしながらいろんな場所を散歩して一日を過ごしたのだった。 翌日の二人のデートはショッピング。 それはファッションにまったく興味がない上条を美琴が着せ替え人形にして遊ぶだけの一日ではあったのだが、上条はこれまでの人生で味わったことのない満足感を得ていた。 次の日は上条の家で勉強会。 自分の彼氏になったのだから劣等生は許さない、という美琴のありがたいお説教と共に上条はみっちりとしごかれることになった。 ちなみにインデックスはというと、美琴が訪問したときは不機嫌さ全開だったのだが、美琴がお土産代わりとして振る舞った手作りの料理を食べ終わる頃にはすっかりご機嫌になっていた。「ハグ、モググ、短髪がとうまの恋人になるのは納得いかないけど、ムグ、ゴク、こういうお土産があるんなら、とうまと、ング、仲良くするのは許してあげてもいいかも。というより当麻のご飯よりずっとおいしいし、毎日でも来て欲しいかも」 以上のようなインデックスの弁を受け、完全に餌付けされてるじゃねえか、と上条は思ったがあえて黙ることにした。 ちなみにその日の晩からインデックスが美琴の次の訪問をすっかり楽しみにするようになったのは言うまでもない。 その次の日は映画鑑賞。 少女趣味の美琴なのでベタベタのラブロマンスを見るのか、と思った上条の予測を裏切って美琴の選んだ映画は「ゲコ太の宇宙創世記 大魔境へいらっしゃい」。 どう考えても対象年齢が小学生の映画である。 子供達に混じって入場者特典であるゲコ太のおもちゃをもらってほくほく顔の美琴を見ながら、上条は幸せってこういうのを言うのかな、と柄にもないことを考えていた。 さらに翌日は週末ということで二人は水族館へ。 ここまで来ると付き合い始めはぎこちなかった上条もすっかり美琴との関係に慣れ始めていた。 だが逆に美琴の様子が時々おかしくなるのに気づいた。 普段はいつも通り上条にくっついて色々な動物たちに目を輝かせているのだが、今日はふとした拍子に上条からぱっと離れるときがあるのだ。 しかもそのとき美琴の顔は真っ赤である。 ただ、少しすると美琴は再び上条にくっつくので上条もそこまで疑問にも思わなかった。 上条はこのとき、気づいていなかった。 終わりはもう、すぐそこだということに。 その翌日。 美琴のたっての希望で自然公園のボートに乗りに来たのだが、美琴は明らかに挙動不審だった。 上条と目を合わせようとしたり、目をそらしたりと非常に忙しい。 しかも今までと決定的に違うのは上条と腕を組もうとしないことだ。 どんなに上条が恥ずかしがってもいっしょに歩いているときは必ず腕を組んでいた美琴が今日はまったくそうしない。 散々思案したあげく手を繋ぐくらいでそれもおそるおそる。 何かの拍子にすぐ手を離すのだ。 さらに上条が話しかけてもずっと上の空。 そんな美琴を心配した上条が美琴の額に自分の額を当てて熱を測ろうとしたところ、顔を真っ赤にした美琴は奇妙な叫び声を上げて逃げ出してしまった。 あっけにとられた上条は美琴を追いかけることもできず、呆然とその背中を見送った。 上条から逃げ出した美琴は化粧室で顔を洗っていた。 顔を洗い終えた美琴は大きくため息をつくと鏡に映る自分を見た。 顔を洗ったことにより先ほどからの顔の火照りは消えたものの、その表情に明るさはない。「あんなの反則よ、恥ずかしすぎるわ。んにしてもアイツ、躊躇なくやってきたけど、私以外の女にもあんなことやってないでしょうね」 美琴はもう一度大きなため息をついた。「それにしても、美琴か。さすがにあれだけ素で連呼されると破壊力デカいわね。みこと、か……」 美琴は小さく微笑んだ。 だがその笑みはすぐに消え、辛そうな表情に戻った。「もう、限界ね。でも後もうちょっと、もうちょっとだけ、お願い」 美琴は鏡に映る自分に懇願した。「夜中の12時まででしょ、シンデレラの魔法は。今日はまだ終わってないの、お願いだから。ファイト、私!」 美琴はぱしーんと顔をはたくと小さくうなずいて化粧室を後にした。 美琴はその後もかなりぎくしゃくしながらもなんとかデートを続けることには成功し、二人は帰宅の途についた。「と、当麻、今日はもうここまででいいわ。後は一人で帰れるから」 寮への帰宅途中で発せられた意外な美琴の言葉に上条は聞き返していた。「え? いつもなら寮が見えるまで送っていくのに、いいのか? まだ全然途中だぞ」「うん、大丈夫。それよりも明日は学校あるんだから早く寝なさいよね。勉強もしっかりやるのよ」「ああ、わかってる。それに情けない話だけどこれからはお前が勉強見てくれるしな。上条さんも劣等生から脱出できそうだ」 にかっと笑う上条に、美琴は寂しそうな笑みを返した。「そう。本当に、頑張るのよ。ちゃんと、ね」「大丈夫だって。それよりお前さ、今日はどうしたんだ? てか、昨日から様子おかしいぞ。本当に具合でも悪いのか?」 美琴の顔を心配そうに上条はじっと見つめた。「そんなことないわよ。大丈夫!」 そんな上条に美琴は笑顔で答えるとくるっと後ろを向いて走り出した。「バイバイ!」「ああ。み、美琴!」 美琴の後ろ姿に言いしれぬ不安を感じた上条は思わず声を出していた。「何?」 美琴は上条の方を見ずに答えた。「え、えっと、悪い、なんでもない。また明日な!」「…………」 美琴は何も答えず走り出した。 拭いきれない不安を抱えたまま、上条は美琴の背を見つめ続けた。――時間切れ。一週間、よく保った方よね。シンデレラの夢の時間は、終わり。 翌日から美琴は上条との一切の連絡を絶った。 上条と連絡を絶って一週間後の夕方、美琴は寮の部屋でぼうっと携帯の画面を見ていた。 そこに映っていたのは先週上条といっしょに撮った写真だった。「楽しかったな……」 大きくため息をつきながら、美琴は次から次へと携帯の写真を切り替えていく。 そのどれもがきらきらと輝く楽しい思い出の欠片だ。「戻れない、よね、あのときには」 この間、上条と別れた際に覚悟はしていたはずだった。 もうダメなのだ、同じようには過ごせない、と。 だからこそ自分の中で整理を付けるために上条に会わないようにしているのだ。 しかし一向に自分の中で整理が付きそうにない。 上条に会いたくて仕方がない。「会いたいよ、当麻ぁ……」 知らず知らずのうちに涙はどんどんあふれてくる。「まったく、そんなに恋しいのでしたら素直にお会いになればよろしいではありませんの」「黒子!? いつ帰ったの? ていうか、どうしてテレポートで帰ってくるのよ」 美琴が後ろを向くと、そこには風紀委員の活動中でまだ帰るはずのない白井黒子が音もなく立っていた。 美琴は白井の姿を確認すると目をごしごしとこすった。 そんな美琴を見ながら白井はやれやれと言わんばかりに首を振った。「わたくしも風紀委員の活動の途中でして、ちょっと野暮用で寄っただけですわ。それよりもお姉様、どうしてそこまでして上条さんにお会いになりませんの? お二人はお付き合いなさってるんですわよね、非常に不本意ですが」「そ、それは……」「それともなんですの? あんな類人猿に愛想を尽かせて、ようやくこの黒子の海よりも深い、大宇宙よりも広い愛に応える気になりまして?」「な、何を馬鹿なこと」「違いますわよね。黒子の知ってるお姉様はそう簡単に心変わりするような軽薄さで人を好きになったりしませんし、そんなお姉様が想いを寄せる方がお姉様に愛想を尽かされるようなことをそうそうするわけがありません。まったくもって不愉快極まりますが」「黒子……」「で、いったいどういう訳ですの? 先週は毎日門限ギリギリまで上条さんとデートをするくらいお盛んだったお姉様が、今週に入ったら打って変わって学校が終わると寮へまっすぐお帰りになってひたすら部屋にこもる毎日。倦怠期、というわけではありませんわよね」「べ、別に、会う必要がないから会わないだけよ」 ばつが悪そうに白井から顔をそらす美琴だが、白井はそんな美琴をジト目でにらみつけた。「泣くほど会いたいのに?」「な、ぅ、く……」 美琴はもう一度目をこすった。「とにかく、どういうことになるにせよ、きっちりとケリはつけていただきませんと。お姉様のそんな悲しそうな顔を見るのは黒子には耐えられませんし、なによりああいう汗臭い熱血馬鹿が何かあるたびに神聖な風紀委員の支部に押しかけてくることは我慢なりません。さ、お姉様」「え? 馬鹿ってまさか」 白井は何も答えず美琴の腕を掴むとテレポートを使った。 美琴達がテレポートした先は寮から少し離れており、かつ人目に付きにくい場所だった。 辺りには誰もいない。「ちょっと、いきなり何すんのよ」「さ、後はお二人で存分に語り合って別れ話を成立させて下さいな。お姉様のアフターフォローは黒子が全身全霊をもってお相手いたしますので」「ア、アンタは何を?」「それでは、お姉様をよろしくお願いいたしますわ。では」 そう言うと白井はぱっと姿を消した。「いったい黒子の奴、何言ってんの、よ……どういうこと? まさか、黒子はアンタに頼まれて?」 美琴は白井が姿を消した後に立っていた上条をにらみつけた。「よ、元気そうだな」 やたら嬉しそうに上条は片手を上げた。「なんでアンタがここにいるのよ」 一方美琴は不機嫌そうに言葉を返した。「なんでって、そりゃ白井に頼んでお前をここに連れてきてもらったからな。大変だったぜ、まず風紀委員の支部を探すとこから始めなきゃいけなかったし」「支部って、アンタまさか一七七支部に? てことは初春さんとか佐天さんになんか妙なことを、いや、巨乳マニアのアンタのことだから固法先輩に手出したんじゃ! あの人にはちゃんと黒妻っていう人がいるのよ!」「……なんだよ巨乳マニアって。だいたい、俺にはお前がいるのにそんなことするわけないだろ」「そ、そう……じゃなくて、なんでアンタがそんなことまでしてここにいるのかって聞いてるのよ!」「お前に会いたかったからに決まってるだろ。携帯には出ない、メールの返事は返さない、俺は常盤台には近づけない、特別な事情もないのに女子寮なんてもっての他。ならこうでもしないとお前に会えないだろ。んにしても白井の奴、去り際になんつーことを。当たったら大怪我だぞ」 上条は指で挟んだ金属の矢を弄んだ。 おそらく白井がテレポートで消える直前、上条に投げつけたのだろう。 一方、素直に自分に会いたいと言われた美琴は心臓を高鳴らせたが、それをごまかすように大声を出した。「わ、私はアンタに会いたくなんてないわよ。だから返事もしなかったし、連絡もしなかったでしょう!」「そんなもん関係ねーよ。俺が、お前に会いたかったんだ」 美琴はしばらく上条をにらみつけていたが、やがて諦めたかのように大きくため息をついた。「そうね、アンタはそういう奴よね。いっつも自分の気持ちや正義を人にぶつけて、こっちの気持ちなんかお構いなし。相手がどんな気持ちになるかなんて、考えもしない。ほんとに、私がどんな気持ちなのかなんて……。でも、あれから一週間か。そろそろいいかもね」「そろそろ?」「うん。あのさ、ちょっと話、いいかな」「そりゃ別にいいけど、俺に話なんてないんじゃなかったのか?」「うるさいわね、会いたくないって言っただけよ。それに事情が変わったの」「ふーん」「じゃあ、言うわよ」 美琴は大きく息を吸い込んで気合いを入れた。 その気迫に押された上条はごくりとつばを飲み込む。 次の瞬間、美琴はばっと頭を下げた。「ごめんなさい! 二週間前のことは全部なしにして!」「へ?」 上条はまぬけな返事を返すことしかできなかった。「えっと、どういうことだ?」「だから、そのまんま。二週間前、アンタに告白したのとか、色々、全部、なしにして欲しいの! あれは、ま、まま間違い、だから……」「間違い……告白、そのものがか」「……うん」「てことはお前、正気に」「戻ってる。だから、正気じゃなかったあのときのことは、全部」「いいぜ」「…………!」 美琴は目を見開いてはっと息を呑んだ。 自分から言いだしたこととはいえ、あまりにも上条があっさりと自分との別れ話を納得したことに衝撃を受けたのだ。 自分はやはり上条に本当の意味で好かれてはいなかったんだな、と。「でも、その前になんであんなことになったかくらいは聞かせてくれよ。原因、わかってるんだろ?」「う、うん」 あまり言いたくないな、と思いながらも美琴はうなずいた。「あ、あのね。あのとき私、催眠というか、自己暗示状態になってたの」「自己暗示?」「うん。きっかけは些細なこと。雑誌の特集であった催眠ていうのを試しにやってみたら見事に自分にかかっちゃって。ほら、私ってレベル5でしょ。人より遥かに『自分だけの現実』、思いこみが強くてかなり心の奥の部分にまでかかったみたいなの、しかも別の現実まで心の中に構築しちゃって。だからあのときの私は暗示で性格が変わった上に事実とは異なる思いこみの記憶まで心に同居させてる状態だったってことね。ちなみにあのときの記憶は全部あるわよ。まあこうして解説してるくらいだからわかるでしょうけど」「それが婚約とか、付き合ってるっていうあれなのか。そうか、科学でも魔術でもないから幻想殺しが効かなかったわけか」 美琴はこくりとうなずいた。「でも、元々素人がかけた暗示なんだから簡単に解けるはずだったのよ。実際あのときどんどん偽の現実と性格は壊れていってた。なのにアンタは、私の中の偽物を助けちゃった、お節介にも。ほんとに、私や妹達だけならともかく私の中の偽の感情までアンタは……」 美琴はやや自嘲気味な笑みを浮かべた。「だってお前、あんなに辛そうだったから」「それはそうよ、偽物とはいえ心の中に構築した『自分だけの現実』よ。心にある現実がどんどん壊れていくのは本当に怖かったわ、あのときの私の心の中心は偽物の方にあったんだから。で、アンタに助けてもらった偽の現実と性格なんだけど、しょせんは偽物、時間制限があった」「それがこないだの自然公園でのデートの日。様子がおかしかったのは暗示が解けかけで性格そのものが不安定だったから、か?」「そう。まあこっちは壊れるんじゃなくて解けるんだから恐怖はなかったんだけど。かくして12時の鐘の音と共に見事にシンデレラの魔法は解けちゃった。アンタと私の嘘で固めた中途半端な関係も終わったってわけ。欲を言えばもっと続いてほしかったけど、ね」「シンデレラ……」「で、完全に正気に戻ったのはいいんだけど、そうなったら後始末を色々とね。でも、気持ちの区切りがちゃんと付かなくて。だから、しばらく時間をおいたらアンタともちゃんと元に戻れるかなって」「で、一週間してどうだったんだ?」「…………」 美琴は何も答えなかった。「後どんだけ時間があればいいんだ?」「……わかんないわよそんなこと。でも、迷惑かけたアンタには謝りたかった。好きでもない私のために本当に、ごめん」 美琴は申し訳なさそうに頭を下げた。「お前、何勘違いしてるんだ? 俺がいつ迷惑だなんて言った? 俺は自分で選んだんだぞ、お前にとことんまで付き合うって。それに好きでもないとか俺が一度でも言ったか? 恋人としての『好き』に追いついてないだけだって言ったはずだ」「それは、そうかもしれないけど……。でもやっぱりおかしいわよ。私はお人好しのアンタの心を弄んだのよ、なんでそんなに優しいのよ! 同情にしてもお人好し過ぎよ!」「俺はそんな聖人君子じゃねえ! だいたい被害者の俺が被害を受けてないって言うんだ、なんの問題がある。……それに、お前がどう考えてようと、いまさらもう後戻りなんてできないんだよ、俺は」「それ、どういうことよ?」 訝しげに上条を見る美琴。「だから……とにかく、二週間前のことはなしでいい。ていうか、遅かれ早かれ俺の方から頼もうと思ってたことだし」「そう。つ、つまり、アンタも、私と別れたかったってことなんだ……」 美琴は辛そうに唇を噛んだ。 だが上条は首を横に振った。「そうじゃなくて、俺がなしにしたいのは告白のとこだけだ。後のことは最初からやり直すつもりだったんだ」「アンタ、さっきから何が言いたいの?」「だからその、あのさ、みこ、御坂」 上条は美琴の肩を掴むと、急に真剣な眼差しで彼女の瞳を見つめた。 美琴はその眼差しが自分の心臓を高鳴らせるのを感じた。「は、はい」「えっと」「はい」「だから」「うん」「み、みみ、すすす」「はい? ミス?」「み、みみみみ、御坂! 好きです! 俺と、本当に付き合って下さい!」「に?」「好きです」「にや」「付き合って下さい」「に、にゃにゅ、ふにゅにゃにゃぁぁ!?」 そのとき、美琴の呼吸は一瞬止まった。 我に返った美琴は慌てて呼吸を繰り返した。 とりあえず上条は近くにあったベンチに美琴を座らせ、その背中をさすり続けた。「っくは、はあ、はあ……」「……おい、大丈夫か、御坂」「だ、大丈夫、たぶん……」「えと、その、急、過ぎたか? あの、俺、こういうこと初めてでよくわからないんだが、なんかまずかったか?」「いや、そういうことじゃないんだけどね……いったい何がどうなってるのか」「御坂が好きだって告白した」「全部すっ飛ばして結論だけあっさり言うな! ……ゲホッゲホッ」 咳き込んだ美琴の背中を再び上条は無言でさすった。「だいたいなんでそうなるのよ、私はアンタのことを――」「そんなの関係ない」「でも」「俺さ、一週間お前といっしょにいて、今まで知らなかったお前のいろんなところをたくさん知ったと思うんだ。そして、知れば知るほどお前のことで俺の心はいっぱいになっていった。お前、さっきシンデレラの魔法とか言ってたろ、続いてほしいとかも言ってたよな。あれさ、俺も同じだったんだ。お前には悪いと思ったけど、お前が俺の側にいてくれるんならこのままの状態が続けば、いいなって」「…………」 美琴は上条に返す言葉を持たなかった。「でも、それじゃダメだってこともわかってた。そんなとき、お前と会えなくなった。そうしたらお前のことを考えてやる余裕とかすっかりなくなって、ただお前に会いたくて、たまらなくなって。結局お前に会うために白井を探して風紀委員の支部にまで乗り込んじまった。白井の奴、文句言ってたろ」「うん、汗臭い熱血馬鹿が来て迷惑だって」「だろうな。でも、白井は俺の頼みを聞いてくれて、お前に会わせてくれた。実を言うとさっきな、お前の姿を見た瞬間、抱きしめたくてしょうがなかったんだ。でもお前の様子が変わってるのはなんとなくわかってたし、もしそれで嫌われたりしたら、とか考えたら何もできなくて普通の挨拶になっちまった」 恥ずかしそうに頬をかく上条を見ながら美琴は心臓の鼓動がどんどん早くなるのを感じていた。 本当に告白など慣れていないのだろう。 回りくどく、不器用な言い回しだが精一杯真剣な想いを自分にぶつけてくれようとしているのがわかった。「二週間前の関係はやっぱりいびつだ、あんなのフェアじゃない。お前の弱みにつけ込む、そんなの俺は嫌だ。俺はお前に正々堂々、正面からちゃんと向かい合って自分の気持ちを伝えたい。だから、二週間前のあんな関係は全部なしにして、できることなら最初っから始めさせてほしいって頼みたかったんだ」 そこまで言うと上条は目を閉じて深く深呼吸をした。 目を開けた上条は先ほど以上の真剣な眼差しで美琴を見つめた。「もう一度言う。御坂美琴さん、心からあなたが好きです。恋人として俺と、付き合って下さい」「…………」 美琴は何も答えなかった。 やがて沈黙に耐えきれなくなった上条がおずおずと口を開いた。「あ、あの、へ、返事は、やっぱり……」 美琴は瞳を潤ませながら上条をにらんだ。「アンタさ、ほんと、馬鹿じゃないの?」「……いくらか、いや、かなり自覚はある」「おまけに人がどう思ってるかなんかちっとも考えないし。私の気持ち、考えたことある?」「や、やっぱり迷惑……」「私がどうして暗示なんかに頼ろうとしたかとか、どんな暗示に頼ろうとしたかとか、アンタちょっとでも考えた?」「えっと……?」「私は、素直になりたかった。妹や、あのシスターみたいに素直にアンタに接したかった。アンタへの気持ちを素直に表したかった。学園都市の誇るレベル5、この科学の固まりみたいな私がアンタに素直になりたいってだけで怪しい暗示なんかに頼ろうとした。この気持ち、アンタちょっとでも考えたことある?」「…………」 静かな、それでも威圧感のある美琴の口調に上条は言葉を失った。「アンタが私のこと好き? 私に会いたくてたまらなくなった? ふざけないでよ! 私が、いつから、どんだけアンタのこと好きなのか、考えたことあるの! アンタが私のこと好きだって言うんなら、私はその何倍も何倍もアンタのこと大好きなんだから!! だから、だから……」 美琴は上条をビシッと指さした。「アンタは私と付き合いなさい!! 世界中の誰よりも私を大切にしなさい!! 一生私といっしょにいなさい!!」 ここまで一気に言うと美琴は肩で荒い息をついた。 上条は何も言わずぼうっと美琴の顔を見つめていた。 その様子に美琴は表情を暗くし、うつむいた。「だ、ダメ……かな……」「……する」「え?」「するするする約束する! 美琴を大切にする、一生いっしょにいる。お前を一生懸けて護り続ける!!」 顔を真っ赤にした上条は美琴の手をぎゅっと握ると飛びかからん勢いで彼女に近づいた。 同じように顔を真っ赤にした美琴の目からつーと一筋の涙が流れた。「ほんと?」「ああ」「ほんとにほんと?」「ああ」「ほんとにほんとにほんと?」「ああ」「私、ビリビリするよ」「上条さんには幻想殺しがある」「わがまま言うよ」「いくらでも聞いてやる」「嫉妬深いよ」「上条さんは美琴以外に興味ないから問題ない」「胸だって小さいよ」「気にしたことありません」「それから、それから……」「俺は良いところも悪いところも全部ひっくるめて美琴の全部が大好きなんだ! それくらいの男の甲斐性見せてやる! だから俺を信じろ!!」「うん!」 感極まった美琴が上条に飛びつき、それを上条はしっかりと抱き留めた。 乙女にかけられるシンデレラの魔法。 確かにそれは12時で消えてしまう儚いものなのかもしれない。 けれど乙女がその心に一途な想いを抱き続けるならば、魔法はきっと乙女の想いを叶えてくれるだろう。おしまい ちなみに。「あれ、当麻、携帯鳴ってるよ」「ん? いったい誰だろ、こんなときにって、母さん?」 上条の携帯に表示された発信者は上条詩菜だった。「もしもし」『もしもし当麻さん? そこに美琴さんいますよね、代わってくれますか?』「ああ。母さんが美琴にだって。でもなんでいっしょだって知ってるんだ?」 美琴は上条から携帯を受け取ると丁寧に頭を下げた。「あ、詩菜さん、お久しぶりです。えっといろいろありましたけど、なんとか無事に。はい、ありがとうございます。え? そんな、今から甘えちゃっていいんですか? いやです詩菜さんてば、そんなかわいいだなんて。でも本当にいいんですか? でしたら、はい、是非お願いします! はい、ではまた後ほど、こちらから連絡します。はい、番号は当麻から聞いておきますので」 美琴は当麻に携帯を返してきた。「詩菜さん、今度は当麻にだって」 上条は訝しげにそれを受け取った。「何、母さん?」『当麻さん、まったくあなたという人は。まさか中学生に手を出してしまうなんて。刀夜さんの血とはいえ、そこまで手が早い男に育てた覚えはありませんよ』「えっと、そう言われましても。俺としても清い交際を心がけ……って言うか、母さん、どうしてその話をもう!」『とはいえ相手が美琴さんなら話は別です、あの娘は当麻さんにはもったいないくらい良い娘ですからね。それにあなた方の年齢差なんて、実際は成人すればなんの問題もありませんし。はい、ですから婚約の件もこちらに異存はありませんよ、あんなかわいらしい娘ができるなんて本当に嬉しいです。御坂さんも喜んでいるんです、よくやりましたね、当麻さん』「え」『結納などの段取りなどはこちらで決めておきますので任せておいて下さい。大丈夫です、御坂さんのお宅とはご近所さんなんです。当麻さんは何も心配することはありませんよ』「で、ですから」『学園都市の外に出るのは大変だと聞いてます。申請のことなどもあるでしょうし二ヶ月前には連絡するようにしますから。それでは後の連絡は美琴さんとやりますので当麻さんは肝心なときに、逃げ出さないようにだけ、お願いしますね』「あ」 電話は無情にも切れてしまった。「み、美琴、これってどういう……」「あ、あはは。それが、暗示かかって当麻と付き合うようになった夜に、私嬉しくって母さんに電話しちゃったの」「な……!」「そしたら母さんと詩菜さんてご近所さんだったらしくてすっかり話が伝わっちゃってて。しかも私そのとき、結婚を前提にお付き合いって言っちゃってたのよね」 ごめんと言いながら明るく笑う美琴。――ひょっとしてさっきの告白とか関係なく、俺の人生ってもう決まってた……? なまじかわいい分、上条には美琴の笑みが小悪魔のそれにしかどうしても見えなかった。 こんな出来事が二人の告白のすぐ後に起こっていたりする。本当におしまい
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同名アイドル ツンツンお嬢様 水瀬伊織データ プロフィール セリフ 同名アイドル 水瀬伊織 アイドル 水瀬伊織 ラブリーマドモワゼル 水瀬伊織 ツンツンお嬢様 水瀬伊織 データ ツンツンお嬢様 水瀬伊織 属性 Vocal レア度 R Lv上限 40 コスト Lv1AP値 Lv1DP値 最大AP値 最大DP値 売却価格 スキル 入手 ポイントガシャなど プロフィール アイドル名 ツンツンお嬢様 水瀬伊織 年齢 15 身長 153cm 体重 40kg B-W-H 77.0-54.0-79.0 誕生日 5月5日 星座 牡牛座 血液型 AB型 利き手 右利き 趣味 海外旅行、食べ歩き 特技 ショッピング 好きなもの 果汁100%オレンジジュース セリフ セリフ 内容 プロフィールコメント 「」
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勉強ネタ 11月下旬―――常盤台学生寮 (夕方)とある事情により中間テストがなく期末で成績が決まってしまう。その中…「そういえばアイツの電話番号手に入れたのにあまり電話しないわね…」といっても電話の内容が『シャッター開け方』など普通の会話ではない。「どうしよう…たかが電話だけで緊張する…」あれこれ30分も悩んでいる訳だがなかなか決断できない。「落ち着け…まず深呼吸…よし!」決断し電話をかける。プルル…『もしもし?』『もしもし、御坂か?どうしたんだ?』『ひゃ…えっと』声を聞いただけで鼓動が速くなる。『???特に用がないなら切るぞ―――』『まって!えっと…今時間ある?できれば一緒に何処か行こうかなと…別に冬休みでもいいんだけど』『あぁ、そんなことか。―――ごめん、御坂無理だわ』『え、なんで?まさか他の人と…何処か行くの…?』『え?いや、別にそういうことじゃないんだけどさ。今度テストあるだろ? あれで点数悪かったら冬休みのほとんどが補習になるんだわ。だから勉強しないといけないワケ』赤点さえ回避できれば問題ないんだけど。と付け加える。それを聞いて少し安堵する。『ふぅん…要するに赤点さえ取らなければいいと?なんだ簡単じゃない』『はぁ?お前にとっては簡単だけど上条さんにとっては地獄ですけど?』『じゃぁ…今度勉強教えてあげる。それで文句ない?』後でちゃんと付き合ってもらうからね。と条件を付ける。中学生に教えてもらって大丈夫なのか?と思ったが夏休みの宿題もスラスラ解けるから問題ないかと考える。だが中学生に教えてもらうこと自体に抵抗がある。『え、じゃぁ…お願いします?』『なんで疑問形なのよ。私がアンタの所に行ったほうが効率いいわね、住所教えなさいよ』『わかった―――じゃぁ都合いいときに電話くれ』うん、じゃぁねと言い電話を切る。「やった!アイツの住所ゲット、これずっと気になってたのよね」あまりの嬉しさにベッドの上で転がる。今は同居人がいないので何をしても問題ないと言えば問題ない。「早く明日にならないかなー」と言い寝ることにする。 数時間後「ただいまですの」同居人の白井黒子が帰ってきた。「お姉さま?…寝てますの?」「……むにゃ」思いっきり枕を抱きしめている。心情に何か変化があったのだろうかと考える。「その枕は誰の変わりですの…まさかあの殿方ですの!?」うふふと黒い笑みを浮かべる。しばらく白井の苦悩も続く。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 常盤台学生寮―――朝 Saturday「うーんよく寝た」「そうだ、アイツに電話しなきゃ…」嬉しすぎて昨日の緊張がもうない。プルルル…『もしもし』『ふぁ…もしもし…何ですか御坂さん』『アンタ寝むそうね…』『何言ってるですか、今6時半ですよ。特に用がないんですねお休みなさ―――』『ちょっと待ちなさいって!モ、モーニングコールに決まってるでしょ、この馬鹿!』大声で言われたので耳が痛い。『ああそうですか、じゃぁ30分後起こしてくだしゃい…』プープープー「あの馬鹿…なんで切るのよ」冷静に考えれば朝早く電話されるのも迷惑だろう。そこまで自分は浮かれてたのかと思う。「まぁ落ち着いて7時に電話しよう…」―AM7時とりあえず7時になったので電話をする。『もしもし…モ、モーニングコールよ、この馬鹿、早く起きなさいってば』『ああ、ツンデレ風ありがとうございます(棒)』『何よその反応…私だって好きでやってるんじゃないのよ!』はいはいと軽く受け流す。『で?本題だが、朝早くなんの用なんだ御坂』『えっとアンタ今日時間空いてる?それなら晩今日教えてあげるけど―――』それだけのことで朝早く起こされたのかと少し呆れる。『はぁ…まぁいいか…じゃぁ11時ごろ来てくれ』『うん、わかった。じゃぁね』「なんだアイツ…まぁ勉強できる環境作るために掃除でもするか…」とりあえずインデックスを起こす。「とうま、なんでこんな時間から掃除するの?」眠たそうに左目を擦る。「それはお前が部屋を散らかすだろうがぁ!」ちゃぶ台返しみたいな勢いでインデックスを放りだす。今日のとうまはドライかもと言ってるが気にしない。「朝食はもうできてるから適当に食べとけ」「とうま、今日はシャキシャキしてるね、なにかあったの?」「ん?勉強教えてもらう。あと御坂来るから、しまいに掃除手伝いたくないなら外出することをオススメする」「そうじはめんどくさいかも…」―――常盤台学生寮「さて、早いけど準備しようかな」「お姉さま…」背後からなにやらオーラみたいな気が漂う。「黒子…どうしたの?」「お姉さま、そんな朝早くから何方と電話してますの?」的確に芯を突いてくる。「何方って…友達よ!友達!」「その方は男ですのね?しかもお姉さまのツンデレ風モーニングコール…ああ羨ましい…」枕をギッタンギッタンにしたりベッドの上に暴れまわったりしている。流石のお姉さまの美琴でもこれには顔が引きつる。「ちょ、ちょっと黒子落ち着きなさいって―――」騒がしい日常が再び始まる。「はぁ疲れた…やっと外出できる…」あれから長い闘いが続いた。『お姉さまの貞操を!』『あの腐れ猿がああぁぁぁ!!!』などもうきりがないので電撃で気絶させた。「時間遅れたけど…別に問題ない…かな、いや一応電話しなきゃ…」ただ遅れただけなのだが美琴にとってはデートに遅れるのと同じくらい重要らしい。※デートではなくあくまで勉強です。一応電話をかける。『もしもし』『もしもし御坂どうした?急用でも出来たか?』『えっ、いや別にそうじゃないんだけど…』『???』『ちょっと黒子に捕まってね…振り切るだけで時間過ぎちゃったのよ。だから少し遅れるわね』『ん?そんなことかよ。別に問題ないから、あと焦って怪我すんなよ』『え(心配してくれてる…?)』『お前はなんと言うかそそっかしい所があるから―――』『余計なお世話よ、この馬鹿!』「あー…やばい、いつもの調子できつく切っちゃった…」軽くため息をする。アイツ相手だとなんで素直になれないんだろうと思う。一方上条は…「なんでアイツ怒ってんだ???」乙女心が全然わからない鈍感上条だった。しばらくして美琴は上条の学生寮前まで来た。「ええっとここよね…」一応寮の名前を確認する。「おーい」誰かに声をかけられた。振り返るとメイド服を着た少女が清掃型ロボットの上に正座している。「な、なんでアンタがここに?」流石の美琴でもこの展開は予想できなかった。土御門舞夏は何かあると義兄の寮に泊まりに来る。「おー御坂、ちょっと用がな、で御坂はどうしたんだ?」「え、私はえっと…」(アイツに会いに来たって言えば済むけど…そのあと何言われるかわかったもんじゃないし…)ニヤリと変な笑みを浮かべる舞夏。「まさか上条か?」ビクッと肩が大きく揺れる。「ち、ち、違うわよ!」必死に反論するも目が泳ぎ、顔が赤くなったのでまる分かりだ。「なんだそーなんだ、じゃぁ友達として一言。建戦を祈る。」「な、何よそれ!べ、別にそういう意味じゃないんだから!」がんばれ御坂ーと言い何処かへ行ってしまった。「何よまったく…」エレベーターに乗り、上条の所まで行きインターフォン前で立ち止まる。「ここがアイツの…」「なんだろう、異常に緊張してきた…」まずは深呼吸をする。そしてインターフォンへ手を伸ばす。だが手が震えて上手く押せない。どうにか押すことができた。数秒後ドアが開く。「よぉ、御坂。遅かったな。まぁ入れよ」「うん、おじゃまします…」部屋は1人暮らしにはちょうどいいくらいで中はそれなりに片づいていた。「へぇ結構いい部屋じゃない」「そうか?常盤台の寮よりましだろ」「まぁ寝るだけの寮だからこういうのは新鮮なのよ」「へぇ、まぁそこらへん寛いでくれ」取り合えずベッドの上に座る。「御坂お茶飲むかー?」キッチンから声が聞こえる。「あ、うん」(やばい…アイツと2人きり…2人きり…。そのあと発展して…って何考えてるの私///)思考が変な風に働くので断ち切るために首をブンブン横に振る。「はい、お茶…。お前何してんだ…?」呆れた目で美琴を見る。「え、あ、べ、別になんでもない、なんでもない!」コップを上条から奪い一気に飲み干す。そんなにのど渇いてるのか?と適当に考える。「お前顔赤いけど熱でもあるのか?のど渇いてるなら俺のお茶やるけど」自分のコップを美琴に渡す。「あ、ありがとう…」一口だけ飲む。(え、これってアイツがさっき飲んだお茶よね?ってことは…か、か、間接キス!?)「ふぇ…」「どうしたんだ、御坂?ってなんかお前バリバリいってるぞ!?」要するに能力が制御できなくて漏電している。「ふにゃー」「ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!!」電撃が炸裂する前に美琴の頭に右手が触れる。電撃はおさまったが美琴が気絶しているようだ。「まったく面倒かかる姫だな…」
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とある乙女の手製菓子 二月になり、学園都市を含む日本女子の大半が浮足立っていた。全てはバレンタインデーのためである。そして、それは常盤台中学の生徒も例外ではなかった。女子校のバレンタインデーをなめてはいけない。たとえ男子がいなくとも、女子はバレンタインデーを楽しむ術を持っているのだから。 そんな二月のある夕方、御坂美琴は大きな紙袋を二つ抱えて部屋に帰ってきた。「ただいまー」「お帰りなさいませ。……お姉様、一体いくつお買いになりましたの?」「とりあえず五十個かな」即答した美琴は、紙袋ごとベッドの上に倒れ込んだ。「あー…みんな何であんなに頑張れるのかしら?選んで買うだけでも疲れるってのに」「何度も申しておりますように、お姉様には自覚というものが足りないですの。お姉様は学園都市第三位の超能力者であり、常盤台中学のエースですのよ」「だけど……」「だからこそ、皆がお慕いするお姉様にチョコレートを渡したがるのは当然ですの。むしろ全ての方にお返しを用意されるお姉様に驚きですわ。お姉様の貰う量が多いことは分かり切ったことですし、お返しがないからと言って恨むような方はいませんのに」「でも悪いじゃない。せっかく作ってきてくれるのに。せめて市販でもいいからお返ししないとさ」そんな悩ましげな美琴を見て、白井は少し嬉しそうに微笑む。そんな優しい美琴だからこそ、皆が慕って手作りチョコを渡したがるのだということを、本人は全く自覚していない。(お姉様らしい悩みですわね) ふと、ベッドに倒れ込んだ美琴が体を起こした。「ねえ、黒子」「どうかなさいましたの?」「どうして皆わざわざ作るのかな?買った方がずっと楽じゃない」 大勢にあげること前提ならば経済的な事情で手作りの方が安上がりという考えも世間にはあるのだが、お返しとして高級ブランドのチョコ五十箱を購入した美琴の脳にそんな考え方はない。面倒か否か、それだけだ。対して金銭感覚にあまり差はないものの、美琴よりは圧倒的に乙女チック(?)な白井はすらすらと答える。「それは気持ちの問題ですわね。好意や感謝の気持ちを込めた贈り物をするのであれば、手作りの方が遥かにいいに決まっていますもの。自ら心を込めて作った物ならば、相手にも気持ちが通じやすくなるというものですわ」「感謝―――――」「もちろん、お姉様のように大勢へのお返しを用意する場合は市販の物でよろしいと思いますわ。先程も申しました通り、全ての方にお返ししようとお考えになる時点でお姉様は十分過ぎるくらいですの。わたくしは黒子の愛を込めたお姉様だけの為の手作りチョコをお渡しするつもりですが、お姉様は何も気になさらず受け取ってくださいな」ちなみに現在、白井はお姉様の為に作るチョコに必要な『調味料』を取り寄せ中であったりするが、それに気付いた美琴が怒るのは数日後のことである。「ふーん。そういうものかしら……」 心ここにあらずの返事をした美琴は、とある少年のことを思い浮かべて再びベッドに寝転んだ。 美琴にとってバレンタインデーとは嬉しくも悩ましいイベントである。白井の言う通り、御坂美琴は学園都市第三位の超能力者であり、名門常盤台中学のエースなのだ。それらを驕らず誰にでも平等に接する美琴の人となりを考えれば、お嬢様校ばかりの学舎の園で彼女がちょっとした人気者になるのはごく自然なことであった。その結果―――――「はぁー……」 バレンタイン当日、第七学区にて盛大な溜息をつく乙女がここに一名。美琴は薄っぺらい学生鞄と大きな紙袋を一つ持ったまま街をさ迷っていた。紙袋の中身はもちろんチョコ―――――受け取ったチョコの数を聞けば、嫉妬のあまり思わずのた打ち回る男子もいるに違いない。厳密な数はわからないが、とりあえずお返し五十箱では足りない数だったとだけ補足しておこう。本当は他にも紙袋があったのだが、美琴が持ち切れない分は白井が空間移動で持ち帰ってくれた。数少ない『美琴の手作り』を受け取った今朝から、白井黒子は異常なまでに機嫌がいいのだ。そんな白井は現在、風紀委員の仕事で街の巡回を行っているらしい。ところで。先程盛大な溜息をついた美琴だが、それは決して先輩同級生後輩その他諸々の女子から貰ったチョコぎっしり紙袋のせいではない。かれこれ一時間近く歩き回っているというのに、お目当ての人物が全く見つからないせいである。疲れ果てた美琴はいつもの自販機前に辿り着いた。が、今日はもう上段蹴りする気力すら出てこない。 はぁー、と再び盛大な溜息をついたその次の瞬間。顔をあげた美琴の目に、見慣れた顔が飛び込んできた。黒くてツンツンした髪の少年―――――美琴が探し回っていた人、その人だ。「おっすー。……なんか疲れてんな?」 美琴が顔をあげたその先に、何やら疲れた顔をした上条当麻が立っていた。こちらも小さな紙袋を一つ下げていたが、今にも穴が開きそうなほどボロボロだった。これは青髪ピアスを筆頭としたクラスの男子から奪われそうになったものを死守した結果だったりする。「……、荷物が重かっただけよ」「その紙袋……もしかしてチョコか?」「……、アンタのも?」「あぁ、うん、まぁ、一応」「何よ、その歯切れの悪さは?」「……、『上条くん、あげるよ。いつも不幸だもんね』『私が幸運なのって上条くんのおかげな気もするし、お礼に受け取って?』……そんな同情チョコを自慢できる男に、わたくし上条当麻はなれませんなりませんなりたくありません」 そう言って何だかどんよりと重い空気を漂わせ始めた上条を見て、美琴は少し引きつった笑みを浮かべる。「それは…ご愁傷様、かしら」「どうもー。お前の方は友チョコってやつか?お嬢様のチョコって言えば高そうだな」そんなに貰ったらお返しが大変だろうな、と上条は庶民らしい感想をこっそり抱いてみた。「じ、じゃあ、アンタはその……」「あん?」「ほ、本命らしいのは貰ってないわけね?」「……、ないです。だから傷をえぐらないでくださいませ」 本当は素直になりきれなかった女子からの本命チョコが複数混じっていたが、鈍感大魔王が気付けるはずもない。本当にご愁傷様なのは間違いなく彼女達の方だ。「そ、そうなんだ」 何故か安堵しているような美琴に、上条は嫌な予感がした。(まさかコイツ、貰ったチョコの数で勝負よ!とか言い出すんじゃ……?!) が、上条の予想は大きく裏切られた。 何やら鞄をあさり始めたなと思っていた矢先、美琴が突然右手をつきだしてきたからだ。「……、え?」「あげる」 美琴の右手がつまんでいるものは可愛らしいカエル柄の小さなギフトバッグ―――――たった今、美琴が自分の学生鞄から取り出したばかりのものだ。「あ、あのー御坂サン、これは……?」「み、見てわかんないの?! チョコに決まってんでしょっ!」バチン、と美琴の前髪から雷撃の槍が発射された。反射的に右手でそれを防ぎ、上条は慌ててギフトバッグをひったくる。「な、何てことすんだ! せっかくのチョコに当たったらどうするつもりですか! 食べ物は粗末にしてはいけませんって習いませんでしたかッ?!」「なっ?! わ、私が作ったんだから、どうしようと私の勝手じゃない!」「え? ということは……これ、手作りなのか?」「……!! そ、そうだけど?」「開けてもいいか?」「……、開けていいわよ?」 なんで疑問形なんだよ?と思いつつ、上条はギフトバッグのリボンを解いた。現れたのは小さな箱、その中には―――――。「マフィン?」「違うわよ! フォンダンショコラ!」「ふぉん……?」「フォンダンショコラ!! もしかしてアンタ、食べるの初めてとか?」「……、何だか高級そうな名前で。た、食べていいんですよね?」「い、いいわよ?」「それじゃ遠慮なく―――――」パクっと一気に半分、上条は美琴の手作りを食べてしまった。さらにフォンダンショコラの性質上、中からとろりと甘いチョコレートが零れ落ちそうになったため、残りの半分も慌てて口に放り込んでしまう。(うまッ?!)「ちょ、ちょっとアンタ! もうちょっと味わって食べなさいよ?!」(美味しいですぞ!! これはもしや不幸じゃない?!) 何故だか少し涙目で笑う上条を目の前にして、美琴はとりあえず喜んでもらえたのだろうと推測した。一方の上条は、改めて美琴から貰ったギフトバッグの中身を確認し出した。フォンダンショコラとやらはあと二つ残っているが、今すぐ続けて食べるのは勿体ない気がする。どうしたものかと悩み始めた上条に、美琴はおそるおそる声を掛けてみる。「お、美味しかった?」「ああ、美味しかったぞ。ありがとな」 満面の笑みを浮かべる上条の言葉に嘘はなかった。 上条の想像を大きく裏切って、それは最高に美味しかった。 見た目マフィンのような焼菓子の中は、とろーり美味しいチョコレートだった。 これがフォンダンショコラ、覚えておこう。「お嬢様はお料理出来ないと思ってたけど、とんだ勘違いだったな。すまん」「え? あー……『不器用なキャラが不器用なりに頑張ってみたボロボロクッキー』ってやつ? 気にしなくていいわよ。私も料理は得意な方じゃないし、下手すればそうなってたかもね」 ちなみに常盤台中学の方針上、美琴は『淑女の嗜み』程度に和・中・仏のフルコース料理を一通り作れたりする。彼女の言う『料理を得意とする人』は、常盤台中学には結構いる一流の料理人並みの腕前を持つ人のことだ。「そうなのか? じゃあ成功してくれて良かったよ。…よし、残りは家で食べるとするか。今ここで全部食べちまうのは勿体ない」 禁書目録に盗られないよう気をつけなければ、と心に固く決めて美琴からの贈り物を自分の鞄に入れる。(も、勿体ない?! そんなに喜んでくれてるの?! どうしよう、すんごく嬉しいんだけどッ!!)「にしてもさ」「うん?」「このふぉ…なんとかってやつ、結構作るの大変そうだよな」「別にそんなことないわよ?」「ほんとに、ありがとう御坂」 いつになくいい雰囲気だと、美琴は感じた。今なら素直になれるかも? 告白すれば成功しちゃうかも? なんて美琴が考えていた、その瞬間。「義理なのに」 右手に『幻想殺し』を宿す鈍感大魔王が、美琴の幻想を、瞬殺した。「義理じゃないわよッ!」 バチン、と美琴が髪の毛から火花を散らしながら反射的に叫ぶ。「……、へ?」「……、あ」 自分が何を口走ったのか気付いたところで、すでに後の祭りだ。 美琴は顔の前で両手をバタバタさせ、慌てて言い訳を始めた。「だ、だ、だから! これはその、そう、あれよあれ! 感謝のつもりで作ったものであるわけで……」「感謝と?」「そうよそう! アンタには何かと助けてもらったりしてるから、黒子の分作るついでにアンタにもって思ってみたりしたわけよッ!」 ちなみに白井にあげたのは簡単なトリュフであって、上条へ渡したフォンダンショコラとは手間の掛け方がかなり違うのだが、上条がそんなこと知る由もない。「感謝か……そうか……」「そうよ、感謝よ。も、文句ある?」(や、やっぱり本命って言うべき?! 言わなきゃだめ?!)「いや、ない。当たり前だろ? お前の気持ち、ちゃんと受け取った。ありがとう御坂」「ふぇ?!」(お、お前の気持ちって…私の気持ち? え? もしかして好きってバレた?!) ボンッ、と美琴の顔が一気に紅く染まり、電気が少しずつ漏れてゆく。 自分で『感謝の気持ち』だと言い訳したことさえ忘れるほどに、美琴は気が動転してしまっていた。「ちょ?! なぜにここでビリビリ?!」 慌てて右手で美琴の頭を押さえる。 が、それが美琴にとっては致命的となった。(あ、アイツの手が! 手が、私の頭に!! な、な、撫で、撫でられて―――――?!)「ふ、ふにゃー…」「お、おい、御坂?!」 ぷつん。バタッ。 幸せの絶頂を迎えてしまった美琴の意識は呆気なく途切れて、その場に崩れ落ちた。 これはきっと夢なのだろう。(アイツ、喜んでくれて良かったなぁ…。やっぱり手作りにして良かった……) 上条に背負われながら、美琴はぼんやりと考えた。 実は当初の美琴は上条に市販の高級チョコを渡すつもりでいた。 本当は男子にも『友チョコ』は通用するのだが、相手が上条という時点で美琴にとっては『本命』になってしまうため、恥ずかしさのあまり手作りなんて案は考えられなかったのだ。 だが、とある後輩が何気なく言った『感謝』という言葉で、美琴は上条に手作りチョコを渡すことを決意した。 『感謝』という形でなら素直に心を込めて作って渡せるかもしれない、そう思って。(型チョコもトリュフもありきたりかと思って結局あれにしたけど、正解だったかしら?) まさか自分の一言がきっかけで愛しのお姉様と憎き類人猿がいい雰囲気になっているなど、知らぬ間に美琴のキューピッドとなってしまっていた白井黒子は全く考えていないことだろう。 さらに言えば、まさか自分や初春がもらったトリュフが当初『アイツ用』に作られたものだったと気付くことは多分おそらくきっとないであろう。(アイツに背負われてるなんて…夢でも幸せかも。今ならちゃんと言える気がする。) 夢の中の美琴は、いつもよりも自分の気持ちに対して素直であった。(わたし…アンタが好き……) 夢の中で、美琴は上条をぎゅっと抱きしめた。 見た目通り、御坂美琴は軽かった。 何だか背中に柔らかい感触、耳には生温かい吐息がかかっているように思うが、己の理性を総動員させてそれらの全てを気のせいだと思い込む。(コイツ、最近漏電とか多くないか? まさか、また一人で悩みごと抱えてるとかじゃねえだろうな?) 美琴は苦悩を一人で抱え込む癖がある。 後輩の白井に頼れないのはともかく、自分にくらい無遠慮で頼ってくればいいのにと上条は思う。 ビリビリ攻撃は無遠慮のくせに、こういう重要なことに限って遠慮深いのが美琴の困った所だ。 そんな事をつらつら考えていると。「……、アン…好き……」 耳元で美琴の微かな呟きが聞こえた。どうやら寝言らしい。にしても、と上条は思う。(あん…すき……『あんちすきる』か? 警備員が出てくる夢って……。なんつー物騒な夢見てるんだ、コイツ) と、力なく垂れ下がっていた美琴の両手が、いきなり上条の胴に力強く回された。(な、な、な……?!) 慌てる上条だが、美琴が起きる気配は未だない。 ドキっとしたのは嘘ではない。背中や耳に現在進行形で感じているものと合わさり、この不意打ち攻撃は上条の心臓に悪すぎた。 それでも上条当麻が誇る鉄壁の理性は一応崩れない。崩さない。崩してはならない。崩してなるものか。 何せ相手はまだ中学生なのだ。(警備員にプロレス技でもかけてんのか?!) 結局その日、どこまでも鈍感な上条が美琴の幸せな夢の内容を正しく理解することはなかった。 その後、なかなか目覚めない美琴を背負って常盤台中学の学生寮まで送り届けようとしていた上条を巡回中の白井黒子と初春飾利らが見つけて騒ぎ始め、完全に目覚めた美琴が照れ隠しに電撃を巻き散らすのは別のお話だったりする。 ちなみに。 美琴は知る由もないが、騒ぎ出した白井からの逃走でボロボロになって帰宅した上条が悪戦苦闘した結果、上条が何とか最後まで死守しきった美琴からのチョコ以外は、見事に暴食シスターの餌食となってしまう。 口周りにチョコをつけて満足げなシスターの後ろで、守りきった美琴のチョコを抱えていた上条が思わず呟いた言葉は意外にも不幸と反対の言葉だったのだが、その頃白井の質問攻めにあっていた美琴が知るはずもない。 こうして、とある乙女のバレンタインデーは今年も幕を下ろしたのであった。
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【種別】 人名 【初出】 アニメ とある科学の超電磁砲 第三話 【CV】 田村ゆかり 【解説】 関所中学校の二年生で、レベル2の視覚阻害の能力を持つ少女。13歳。 前髪に隠れているが、太い眉毛が特徴的。 過去に付き合っていた彼氏が常盤台中学の生徒に取られたことがある。 (実際の理由は彼女の眉毛を彼氏が嫌がったからの模様) その出来事から常盤台中学の生徒を憎み、復讐を開始。 その手口は視覚阻害の能力を使って忍び寄り、 スタンガンで気絶させた後にマジックでぶっとい眉毛を書くというもの。 しかも、そのマジックは1週間は消えないという学園都市らしいスグレモノである。 放課後から夜の1日で生徒6人が餌食となり、その中には婚后光子も含まれていた。 翌日には偶然常盤台中学の制服を借りていた佐天涙子がケーキ屋の洗面所で襲われ、 7人目の被害者となってしまう。 が、その時鏡で彼女を視認した佐天の証言から彼女の犯行が発覚。 初春を指令塔とした佐天と黒子の連携により追い詰められ、 最後は美琴の手で捕縛。警備員に連行された。 短期間で身体検査で検出された以上の能力を使っており、 幻想御手使用の疑いがあり、 後に介旅初矢と同時期に意識不明に陥った。 また、事件後は佐天と手紙のやりとりをしており、 夢で会えるようにと佐天からもらった手紙を枕の下に入れて寝るなどしている。
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【検索用 しんしゅうならおしょうさまふで 登録タグ CeVIO SLAVE.V-V-R し 曲 曲さ 狐子】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:SLAVE.V-V-R 作曲:SLAVE.V-V-R 編曲:SLAVE.V-V-R 唄:狐子 曲紹介 前回の曲で引退を発表しましたが なんとHUNTER×HUNTERが今日発売のジャンプで連載再開したので引退に失敗しました。 でもハンター再開ガチなので仕方ないと思います。 そして突然ですがこの曲でボカロを引退します。 今までありがとうございました。(動画説明文より) 曲名:『心中ならお嬢様部で』(しんじゅうならおじょうさまぶで) SLAVE.V-V-Rの狐子オリジナル曲。 歌詞 先に逝ってしまえば 先に無になりますわ 仮にあの世があっても きっと会えはしませんわ だから感情をあげます 貴方に最期の感情を 私をそこで看取ったら後を追ってくださいませ 看取られて逝く私は 貴方より高貴で在らねば その命を尽くさせ 尚 許される者でなければ だからお嬢様になりますわ 世界一我儘なお嬢様 私の死さえも受け入れる貴方であって欲しいのですわ 格別に甘い御茶菓子と 致死毒が揺らめく御紅茶で 終わってしまう為の御茶会を始めます 御席について さあ舞台は整いました 幾許の未来も私達にはもうないのだから 今お聴きになって 絶対に アイ・ラブ・ユー ですわ 今日死のうが それは絶対ですわ アイ・オンリー・アクセプト・ユー ですわ 逝く寸前までお忘れにならないで 事切れる迄 アイ・ウォント・ユー 時間は進み世界は動き だけど私と貴方は終わるの 観測の終点 感情の結末 作り出すのは結論 私達の結論 私の最期を見届ける貴方の顔が知りたいの こんな我儘を許されるお嬢様でなくては 絶対に アイ・ラブ・ユー ですわ どんな時も これは絶対ですわ ステイ・バイ・マイ・サイド ですわ 全部の感情で私を見て 絶対に アイ・ラブ・ユー ですわ いつ死んでも それは絶対ですわ アイ・オンリー・アクセプト・ユー ですわ 逝く寸前までお忘れにならないで 最期の御茶会は今際の際で コメント 名前 コメント
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【 YouTubeアニメ無料動画@Wiki >とある科学の超電磁砲>【とある科学の超電磁砲】黒子の死闘(|||゚Д゚)【どぅっふぇ!!】】 【とある科学の超電磁砲】黒子の死闘(|||゚Д゚)【どぅっふぇ!!】 お気に入りに追加する bookmark_hatena このページは YouTube ,veoh,MEGAなどで視聴できる【とある科学の超電磁砲】黒子の死闘(|||゚Д゚)【どぅっふぇ!!】の 無料 動画 を紹介しています。 更新状況 更新履歴を必要最低限にわかりやすくまとめたものです。 【広告】あの部長のドメインが、ワタシのより可愛いなんて・・・・。 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ動画3本追加しました!(9/23) 【今更】刀語:アニメ最新話追加しました!(9/23) 【最新】けいおん!!:アニメ動画3本追加しました!(9/23) 【最新】屍鬼:アニメ動画2本追加しました!(9/23) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ動画3本追加しました!(9/23) 【ソノ他】動画ページ上部に「お知らせ」を追加しました!(9/23) 【過去】とらドラ!:アニメ動画10本追加しました!(9/5) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(9/5) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(9/3) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(9/3) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(9/3) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(9/2) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/30) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/30) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/28) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/26) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】殿といっしょ:アニメ動画3本追加しました!(8/25) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/25) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/21) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/18) 【修正】デュラララ!!:第7話を視聴可能な動画に更新しました!(8/16) 【今更】刀語:アニメ最新話追加しました!(8/16) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/15) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【過去】とらドラ!:アニメ動画5本追加しました!(8/14) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/14) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/12) 【ソノ他】70万ヒット達成!ありがとうございますヽ(´∀`)ノ(8/11) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/11) 【過去】とらドラ!:アニメ動画10本追加しました!(8/11) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/10) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/10) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/10) 【関連】殿といっしょ:MAD動画等7本追加しました!(8/10) 【最新】殿といっしょ:アニメ動画2本追加しました!(8/10) 【過去】こばと。:アニメ動画全話追加し終えました!(8/9) 【最新】生徒会役員共:アニメ最新話追加しました!(8/8) 【最新】みつどもえ:アニメ最新話追加しました!(8/8) 【最新】屍鬼:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】黒執事II:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】伝説の勇者の伝説:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】オオカミさんと七人の仲間たち:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】ストライクウィッチーズ2:アニメ最新話追加しました!(8/7) 【最新】けいおん!!:アニメ最新話追加しました!(8/6) 【最新】ぬらりひょんの孫:アニメ最新話追加しました!(8/3) 【最新】世紀末オカルト学院:アニメ最新話追加しました!(8/3) 【最新】学園黙示録:アニメ最新話追加しました!(8/3) お知らせ↓追加しました!(9/23) 最近、更新が停滞していて本当にごめんなさい。管理人の都合で、またしばらくサイトの更新ができなくなります。えっと、都合というのはちょっとした国家試験なんです。もっと早く勉強を始めていれば・・・と後悔が募るばかりですが、この度、生まれて初めて(!)本気を出そうと思います。もうすでに遅いような気もしますが、ネットするのを我慢して、自分なりに頑張ってみようと思ってます。たまに更新することもあるかもしれませんが、その時は勉強サボってるなあと思ってください(^^;) 更新は10月下旬頃に再開する予定です。怠け者でダメ人間な管理人ですが、これからも生温かい目で見守ってくれるとうれしいです(*´□`*)♪ ※実はこっそり隠れてツイッターもやっています。あまり見られたくないですが、もし見つけたらリプくれると喜びます! 当サイトについて 動画は最近放送されたアニメを中心に( ´∀`)マターリ紹介しています。管理人の気まぐれや人気記事ランキング、リクエストなどを参照して過去のアニメも更新してます。最近はニコ動などのMAD動画やYouTubeなどにあるOP&EDもバリバリ更新!事前に動画共有サイトから埋め込みタグを取得しているので、他サイトに移動する必要はありません。再生マークをポチっとするだけでOK.゚(*´∀`)b゚+.゚ veoh アニメ動画専用。再生マークを一回押したら見れます。削除されている場合も結構あります。30分以上だと5分間しか見れませんが、ほとんどのアニメは30分以内なので全部見れます。→ Ranking MEGA アニメ動画専用。再生マーク赤をポチっとしたら、広告といっしょにもう一度表示されるので、再生マーク緑をクリックすると再生できます。あまり削除されません。72分間連続視聴すると動画が見れなくなりますので、その場合は54分空けてから見て下さい。また通常は1日に10本までしか見れません。→ Ranking YouTube アニメ動画やMAD動画など。再生マークを一回押したら見れます。アニメ動画の場合は削除されることが多々あります。MAD動画の場合はなるべくコメント付きのニコニコ動画で見ることをお勧めします。YouTubeだけで紹介(そんな時期がありました…)しているアニメ動画のページは、かなり削除済み多数です(*_ _)人ゴメンナサイ。全部はとても対応できそうにないので、どうしても見たい動画は【リクエスト】してください。→ Ranking ニコニコ動画 MAD動画など。再生マークを一回押したら見れます。削除されている場合もたまにあります。通常は登録しないと見れませんが、埋め込みなのでログイン不要です。コメントに慣れてない人は右下の吹き出しマークをクリックして非表示にしてみてください。広告は×を押して消して下さい。→ Ranking コメントについて↓一部更新しました!(9/23) いつもたくさんのコメントありがとうございます!遅くなる事もありますが、すべて読ませてもらってます♪ 少し注意事項です。動画ページには各ページ中部に感想を書くためのコメント欄がありますが、最近そのコメント欄に「動画が見れない」などのコメントが目立ちます。そのような視聴不可報告は【リクエスト・視聴不可・不具合報告】にコメントしてください。それ以外のページの視聴不可報告は見落としてしまって対応できないことがあります。ご協力よろしくお願いします。 上の注意事項は一部の方です。みんなの感想や応援のコメントには本当に感謝しています!励まされます!アリガトウ(●´∀`●)ノ 見れない時は… veohとMEGAの両方とも削除済みで見れない時は【視聴不可報告】にコメントして頂けると助かります。 動画の視聴に便利なサイト ■GOM PLAYER:MP4やFLV動画の再生ソフトです。DVD,AVIなどの再生にも対応しています。 ■GOM ENCODER :対応ファイル形式が豊富なカンタン高速動画変換ソフトです。PSP/iPod/iPhone/WALKMANなどに対応。 ■バンディカム:CPUの占有率が低く、キャプチャー中でもゲームがカクカクしません。無料動画キャプチャーソフトの新定番です。 動画を見る前or後に押してくれるとうれしいですd(≧▽≦*d) ニコニコ動画 このページのタグ YouTube アニメ 無料 動画MAD とある科学の超電磁砲 黒子 とある科学の超電磁砲 白井黒子 初春飾利 (`・Д´・)どぅっふぇ! L(=`Д =)」 コメント(感想) 動画【とある科学の超電磁砲】黒子の死闘(|||゚Д゚)【どぅっふぇ!!】に関するコメントを気軽に書いてください♪ 名前 クリック単価、広告の種類、管理画面の使いやすさなど総合的に判断しても1番オススメです(●`・v・) 今日の人気ページランキング にゃんこい! 第4話「美しい人」 おまもりひまり 第2話「海ねこスクランブル」 クレヨンしんちゃん シロをレンタルするゾ 昨日の人気ページランキング 荒川アンダーザブリッジ OP「ヴィーナスとジーザス」Full らき☆すた 第14話「ひとつ屋根の下」 【マイムマイム】マサオミマイム【紀田正臣】 君に届け 第13話「恋」 屍鬼 コメント/ひだまりスケッチ×365 第11話「9月28日 パンツの怪」 デュラララ!!ラジオ 略して デュララジ!! 第1回 デュラララ!! 公式パーフェクトガイド けいおん!の歌のシーンを集めてみた
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前へ 8月X日、晴天。 5:00 起床。千聖お嬢様の部屋を覗くと、熟睡中のお嬢様のガウンに手をかける変質者(A原さん)発見。 即刻窓から飛び降りるか、大人しく就寝するか選ばせる。また、ベッドの下に萩原さんがいたので以下同様。 5:30 庭掃除。ピンクのタンクトップで元気にランニングする矢島さんを見かける。涼しい顔で何十周も走っていると思ったら、さわやか笑顔のままバターンと倒れる。熱中症らしい。全力すぎるのも考えものだと感じた。 6:40 スタッフミーティング。改善点などを提案する。一番若い執事さんがいつものように私の後ろに隠れていたので、小声で鈴木さんの話を振ってみる。ギャフンとか言って面白かったけれど、執事長に注意をくらう。若干ちょっと反省。 7:00 お嬢様ご朝食。ナスは絶対に食べないわ(キリッ)とか言ってたので、ミキサーにかけてジュースとして提供。 あとでネタばらししたときのお嬢様の激怒顔、今思い出しても笑いがこみ上げる。 7:20 寮生の梅田さんが、朝から携帯小説を読んで号泣。感動箇所を教えてもらうも、共感できず。そう告げると、さらに大泣き。お前は鬼だ悪魔だと有原さんに言われたので、メロンを口に突っ込んで黙らせる。 7:45 鈴木さん、萩原さんと経済学の本を題材にディベート。的を射た意見を述べながらも、随所にダジャレを挟む鈴木さんに脱力。横で聞いてたお嬢様が二度寝を始めたので、お尻を叩いて起こす。 8:00 寮のロビーで、中島さんが“みんなっ、今日はあたしのライブに来てくれてありがとうケロキュフッ”とか言いながら、ご機嫌にほうきでエアギターをかましているのを発見。 セイガモンッと合いの手を入れたところ、みんなには言わないでと泣きながら懇願され、私が悪いみたいな雰囲気に。 8:15 有原(ry 9:30 お屋敷内の清掃。破損したティーカップを部屋に隠していたことがばれ、メイド長から大目玉。正座1時間の刑に処される。 10:30 授業中にもかかわらず、みやびからメール。こーら、ちゃんと勉強しなきゃだめだゾ?キャッキャウフフとやりとりしてるところを一番若い執事さんに見られる。すごんだら胃を押さえて逃げていった。 10:50 空翼お坊ちゃまから電話。「う○こ」と叫んで電話を切られる。 10:52 海夕音お嬢様から電話。「おにぐんちょう」と呼ばれ、脳裏に萩原さんのデビルスマイルがよぎる。どうしてくれよう。 11:00 倉庫の整理をしていたら、昔の写真を発見。若い頃の執事長さんが無駄にイケメンで一同爆笑。気がつくとご本人が後ろに立っていたため、執事軍団を残してメイドはとっとと退散。危なかった。 11:50 お嬢様専用のバスルームの清掃。洗面台の下に「今日もマジオッパイ」と書かれた小さなメモ。有原か。それとも萩原か。 12:30 寮とお屋敷の境の中庭に、†暗黒堕天使-SAKI-† の署名の入った大変痛々しいポエムを発見。晒すか、燃やすか、読み上げるか。私の中で悪魔と天使が戦う。 13:00 スタッフルームで昼食。横で若い執事さんグループが下ネタで盛り上がってたので、参加。後で執事長に女性としての恥じらいや品格について諭される。 13:30 通信高校での定期テストに備え、午後は学業に専念するように、とメイド長から御達し。みやびのきゃわわな写メを横目に、いっちょがんばんべ!負けるなワッショイ! リ|* ヮ )<以上、本日の業務日報です!では、勉強がありますので!(キリッ) リ|* ヮ ) ~♪ (執事長)<・・・ (執事長)<業・・・務・・・? 次へ TOP
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある2人の放課後喫茶店 進路相談編 「いらっしゃいませ~」 もうすぐ衣替えの時期という9月も終わりが近い平日の午後。 ここは第7学区の表通りに面した瀟洒な喫茶店。 その窓際のいつもの席。 「今年の大覇星祭も無事終わったわね」 「去年は散々だったからな。今年は何もなくてほっとしたってのが正直なところですよ」 「ねえ。――なんで今年は勝負してくれなかったのよ?」 途端にゲホゲホと咳き込む上条。 「どうしたの? 大丈夫?」 そんな上条を労わる美琴。と思いきや、 「あのさ……。俺、去年のでよくわかったんだけど、俺たちみたいな普通の学校が『五本指』に勝てるわけ無いよな?」 「ちぇっ。ばれてたか。今年も罰ゲームさせようって思ったのに……」 「いやいやいや。最初から罰ゲーム確定の勝負なんて勘弁して下さい。そもそもこのお嬢さんは可愛い顔して、裏ではそんなどす黒い陰謀を企んでたんですかぁー!?」 「えへへー、可愛いって私のこと?」 「おいおい、後半はスルーですか。そうなんですか? 否定しないんですね?」 「えーほら、きれいな薔薇には棘があるって言うじゃない?」 「言いましたよ、この子!? ていうか、上条さんに棘でなにをするつもりだったんですか?」 「罰ゲーム。大丈夫、痛くしないから♪」 「痛くしないってなんだよそれ。あーもう罰ゲームでも何でもしてやるから。もういいかげん勝負ってのは勘弁してくれよ」 いつの間にか、勝負もしていないのに罰ゲームが確定した上条。 そして今日もテーブルの下で、グッとガッツポーズを決めた美琴だった。 「ところで、アンタに聞きたいことがあるんだけど?」 「ん、何だ? 俺に勉強のことを聞いたって無理だぞ?」 「そんなこと最初からわかってるわよ。あのね、アンタの学校のことを教えてほしいんだけど」 「ああ? 俺の高校のことか? そんな大した学校じゃねえし、全部知ってるワケじゃないけどな……」 まあ別にお前の頼みだったらいくらでも協力してやるけどさ、と小さく呟いた上条。 「――でもなんで? ウチみたいな底辺校のことなんて、常盤台のお嬢様が聞いてどうすんだ?」 わからない、という表情の上条。 そんな彼の様子に、――ふっ、と小さくため息を吐く美琴だった。 「――私もそろそろ進路を決めなきゃなんないのよ。だからいろいろ調べてるわけ」 「え、そうなのか? でもお前なら長点上機とか霧が丘とか、もっと上のレベルの学校からいくらでも引き合いあるんじゃねえの?」 「でもね、そういう学校って、実験やら研究やらで能力レベルでしか人を見てくれないのよね」 そう言うと彼女は、カプチーノを啜るように一口飲んだ。 その表情にどことなく憂鬱そうな面持ちを浮かべ、常盤台だってそうだし……となにやら愚痴をこぼすような言葉を呟く。 「――もうそんな学生生活なんてやだなって思ってね。私のことは『超電磁砲』としか見てもらえなくて、親しい友達も出来ないとかさ……」 「……」 上条の脳裏にいつか白井から聞かされた話が甦る。 それは、お姉さまは輪の中心に立つことは出来ても、輪に混ざることはできないという言葉。 無能力者の上条には窺い知れない超能力者としての苦悩なのだろう。 「――アンタの学校に、月詠先生っているでしょ?」 「え? ああ、クラスの担任だけど?」 「前にね、ちょっとした講演会で知り合ったんだけど、私のことを『超電磁砲』じゃなくて、御坂美琴として接してくれたのよね」 「小萌先生らしいな。あの先生は俺たちのことを、ちゃんと一人の生徒として見てくれる人だよ」 「みたいね。あんな先生のいる学校だったらいいなって思ったのよ」 小萌先生にはインデックスのことやらなんやらで、一番世話を掛けている自覚のある上条だが、そのこともあってか、彼女のことを最も尊敬しているのも彼なのだ。 彼女の指導熱心な熱血ぶりや、姫神らの世話を焼いたり結標を居候させたりと面倒見の良さもピカイチであり、上条にとっては教師の鑑とも言うべき人物だから。 「そうだな。俺の学校の先生って、みんな良い先生ばかりだよ。他にも黄泉川先生とか、親船先生とか災誤先生とか色々いるしな」 黄泉川愛穂が一方通行と打ち止め、番外個体の保護者であったり、親船素甘が親船最中理事の娘であることなどは上条も知らないことだ。 そもそもそのような面々が、一介の無名高校に勤務していること自体、なにやら裏もありそうなのだが。 だとしたら魔術側の多角スパイや第六位が在籍していたりとか、ある日突然に第一位が転校してきたとしても何の不思議もないだろう。 「だからアンタの行ってる高校だったら、私も普通の学校生活が送れるかなって思ってね」 普通の学校生活ってのががどんなのか俺にはわかんねえよ、と普段の学校生活を思い出す上条。 年中ドタバタ騒動が普通なのかねえと独りごちた彼の場合は、普通が普通でなくなってしまうことが一番の問題なのだが。 「つまりミコっちゃんは高校デビューをしたいってわけか?」 「言ってしまえばそういうことになるのかしらね」 「へえ。高校行ったら、彼氏を作りたいと……。 ま、お前ならどこへ行ってもそんな心配いらねえと思うぞ。十分可愛いと思うし」 (――えっ!? かっ、可愛いって……言われた) 上条の言葉に、恥ずかしげに俯いた美琴。そのため彼の表情が、僅かに曇ったことには気づかなかった。 でもすぐに上条はそれを面から消すと、言葉を繋ぐ。 「御坂が彼氏をねえ……」 「あのね、誤解の無いように言っときますけど、私、そのために高校行くんじゃないわよ?」 ちょっとしみじみしたような上条の言葉に、反発するように美琴が言った。 「ん? そうじゃないのか?」 上条がどことなくほっとしたようなトーンで尋ねていた。 一方の美琴は内心で、彼氏にしたいのはアンタしかいないんだけどね、と思いながら答えていた。 「――違うわよ。私にだって目指す未来ってものがあるんだから」 「ならウチみたいなレベルの高校に来たんじゃ、大学進学が大変じゃないのか? お前ならこの先、研究とかやりたいことあるんだろ?」 「ん? 大学進学のことなら大丈夫よ。ウチじゃ、卒業時点で既に大学卒業ぐらいのレベルはあるし、すぐにでも研究職に就けるくらいの論文だって書いてるから……」 義務教育終了までに世界に通じる人材を育成する、が基本方針の常盤台では進学は少なく、就職か研究職へ進む生徒の方が多いのだ。 「――高校なんて、どこへ入ったって同じなんだもん」 「サスガレベルファイブハチガイマスネ」 進学はおろか、進級さえもやっとだった上条には耳の痛い言葉。 そんな上条を斟酌せずに、――ただね、と言いかけて美琴がふっと息を吐いた。 「私、今、迷ってるんだ……」 「ん? どうした、御坂?」 「実はね、私の小さい頃からの夢は、筋ジストロフィーの治療のために私の能力を利用することだったの」 それは彼女がまだ小さかった頃、筋ジストロフィー治療の研究に貢献しようと思ってDNAマップを提供したときからの夢なのだ。 だがその願いは学園都市の闇に踏みにじられて、『妹達(シスターズ)』誕生の基となったことは言うまでもなかった。 そのことを知る上条に、彼女に掛けてやれる言葉はまだ見つからない。 「……」 「だけど今はもう、筋ジストロフィーの治療に私の能力は必要なくなったのよ……」 現在、筋ジストロフィーは全て薬剤治療が可能であり、すでに難病ではなくなっていた。 「――だから私はこれから、この先何を目指すべきかっていうのをゆっくり考えようと思ってさ」 発電系能力者はその能力の多様性が真骨頂であり、あらゆる場面に応用が利くのだが、それゆえに自らが進む道というものに迷いが生じやすい。 電気の世界でも、電子の世界でも、医学でも理学でも工学でもどこへ進もうとその頂点を目指せるがために、ひとたび目標を失うとそのまま迷路をさまようことになりかねないからだ。 「ふーん。そういう意味じゃお前も大変なんだな……」 そう言った上条の目が、わずかに何かを探るような目付きをする。 それはこれまでとは違い、自ら「求めるもの」を探り当てようとする意思の表れのような光が宿っているようにも見えた。 「――いっそ誰かのお嫁さんを目指すなんてどうなんだ?」 「げほげほげほっ!?」 いきなりの彼からの言葉に、美琴が咳き込んだ。 普段の上条からは聞けそうにない言葉に、彼女の心臓がどきんと跳ねる。胸の内を見透かされたのかと思い、美琴は繕うように彼の顔を睨みつけた。 「な、なな、なによいきなりっ!?」 「んん? 年頃の女の子だったら、誰かのお嫁さんになるって夢を持ってる子だっているんじゃないのか?」 睨まれた途端に彼女の顔から、ふいっと視線を逸らした上条。彼女の表情から「求めるもの」を読み取ることは上手くいかなかったのだろうか。 美琴はそんな彼の仕草から、内心を見透かされなかったことにほっとしながらも、少し残念な気持ちになる。 「でも、さすがにそんな理由で志望校を決めるなんてこと、ありえないでしょ?」 「――そうか? 漫画だって、好きな誰かさんを追っかけて同じ学校を目指すってのもあるけどな?」 「なによ、そのベタベタな少女漫画的展開……」 「えー、いいんじゃねえか? 一途に想ってますってのも俺はポイント高いと思うぜ?」 「そんなの漫画の中だけよ。現実にはなかなかいないわよ?」 美琴はそう言うものの、上条の言葉になんだかドキドキと胸が高鳴っている。 「――そうか? 俺はそんな一途な女の子がいたら、いっぺんに好きになっちまうんだけどな……」 上条から放たれた衝撃的な発言に、美琴の胸が貫かれる。 それは彼女の顔に視線を向けようともせず、ただぼんやりと窓の外を眺めている様子の彼から、何気なく口にした言葉のようにも思われた。 だが、 「そ、そう……なんだ」 その言葉に頬を真っ赤に染める美琴。 (こ、これって……もしかして……) 内心のときめきを押さえることが出来ず、俯いたまま膝の上でもじもじと指を絡ませていた美琴だったが、ふと視線を上げたとき、彼女の疑問は確信に変わった。 なぜなら彼女の目の前で、上条も同じように頬を染めていたから。 この時美琴の心の中で、彼女の進路が決まったことに、果たして上条は気づいただろうか。 「――ま、まあ、あ、ありがとね。参考にさせてもらうわ」 「あ、ああ。お役に立てて何よりですよ」 「それじゃ、私からのお礼ということで……」 そう言いかけると、彼女はちらりと上条の表情を伺う。 すっかり普段のにこやかな顔に戻っている彼は何も言っていないが、美琴には明らかにその先の言葉を待っているように見えた。 「――今日の晩ご飯、奮発しちゃおうかな?」 「そんなのいいって。俺の方こそいつも世話になってるんだし。御坂が時々料理作ってくれるおかげで、食費だって結構助かってんだ。インデックスなんて、すっかり餌付け状態なんだぜ」 「あんなの私からしたら料理の練習だし、試食までしてもらってるんだから、気にしてもらわなくていいのよ。それにあの子にだって、栄養よく食べさせてあげたいじゃない」 「そう言われると面目ありません。御坂センセーには足を向けて寝られませんですはい」 申し訳なさそうにしながらも、その表情に嬉しさを滲ませる上条だった。 そんな彼の顔を見て、同じように嬉しさを隠せない美琴からの更なる提案。 「なんなら今度は、お弁当作ってあげてもいいわよ?」 「――マジで?」 「マジで!」 「いやでもさすがにな。お弁当ってのは……」 「大丈夫よ。私だって高校生になったらその必要だってあるんだし。今からお弁当作りの練習をしておかないとね」 「そっか、だから料理の練習ってのも……」 「そ。来年からはひとりで家事をしなくちゃいけないしね。だから練習させてって言ってるの」 「でもなあ……」 「さっき『私の頼みなら最初から断るつもりなんてない』って呟いてた人は誰でしたっけ?」 「あん!? あ、あれはお前、言葉のアヤみたいなもんで……」 「――ひどいっ。私にはそうやって嘘つくんだ。ぐすっ……」 美琴はわざと涕目を装って上目遣いに上条を見る。 彼女からの上目遣い攻撃にたじたじとする上条だったが、それでも零れている喜びの感情は隠せなかった。 「あーわかったわかったからっ!じゃ、条件ひとつだけ」 「なあに? とりあえず言ってみなさいよ」 「――ゲコ太の弁当箱だけは勘弁してくれ」 「ええーっ。いいじゃないゲコ太。可愛いのに」 「いやいや、男子高校生がそんな弁当箱持ってったんじゃ、クラスメイトにからかわれるだけならまだしも、上条さんの場合、命にかかわりますからねっ!」 「ちぇっ。じゃ、アンタの弁当箱貸してよ。――せっかくだから他のフラグへし折っておこうと思ったのに……」 「なんですか、そのフラグって。上条さんにはそんなフラグなんてものは存在しませんのことよ!」 「はいはい、わかったから。じゃ、今からアンタん家行って、弁当箱回収するわよ。で、今夜は何食べたい?」 「えーと、麻婆豆腐? 今日のセールは豆腐とひき肉だったかな、たしか」 「それだけじゃ栄養も偏るから、なにかもう一品考えるわね。それにせっかくだからデザートも作っちゃおう」 「……」 「――? どうしたのよ、アンタ」 「なんかさ、お前本当に世話焼きスキル高いよな。やっぱりすぐにでも嫁に行けるんじゃね?」 「よよ、よ、嫁ってなによ!? 私まだ中学生なんだからねっ!」 (で、でで、でもアンタの嫁にだったら、今すぐにでもっ!) なぜか頬を朱に染めて、俯いたままぶつぶつと呟いている美琴。 当の上条はというと、彼女の想いを知ってか知らずか、ニヤニヤとしながら、 「――でも女の子って、16歳になったら結婚できるんじゃねえの?」 更に爆弾を投下した。 カァーッと真っ赤になる美琴。 「なに赤くなってんだ? 御坂」 「ア、アンタが急に変なこと言うからよ。――バカ」 「あーそっか、すまんすまん。お子ちゃまなミコっちゃんには刺激が強すぎたか?」 そう言ってまたニカリと、からかうように笑う上条。 「もうっ! からかわないでよっ! それにミコっちゃん言うな!!」 ぷうっと膨れた美琴に、上条がふっと真顔に戻る。 「――ま、お前ならいくらでも嫁の貰い手はあるだろうけどな」 上条はそう言うとふっと横を向く。美琴には、彼のその表情がどことなく寂しげに見えた。 そんな上条の表情に、きゅんっと胸を切なく締め付けられたように感じた美琴は、 「あのね、もしね……」 ついさきほどの進路相談への答えのようなものを、ぽろりと口走ってしまった。 「――他にいい人いなかったらアンタ、私のこと貰ってくれる?」 「――えっ!? み、御坂……」 それまで年上の余裕を見せていた上条が唖然としたが、急にその意味を悟ってか顔が真っ赤になる。 それを見ていた美琴も、自爆発言に気がつくと、顔を真っ赤にさせて慌てて言った。 「え、いや、あのその、だからその、ほ、保険よ保険! わ、私だっていつかは結婚するんだろうけど、あ、あ、相手がいなかったらダメだから!」 「あ、ああ、そ、そうだよな。あ、相手がいなかったら、けけ、結婚なんて出来ないしな。保険だよな保険! お、俺も掛けとこうかな、保険! い、いつも病院のお世話になってるし!」 「そそ、そうよね。アア、ア、アンタいつも入院ばっかりだもんね。保険必要よね! かか、掛けときなさいよ、保険!!」 「そそ、そうだよな。ほ、保険必要だよな!!」 なにやら訳のわからない方向へと話は向いたが、二人の顔も同時に全く別の方向を向いたまま。 パタパタと手のひらで赤くなった顔を扇ぎながら――今日もまだまだ暑いわね、と独り言を言う美琴。 上条はぽりぽりと、赤く染まった頬を掻きながら、さーて今日のセールは何時だったかなと呟いている ドキドキと高鳴る胸の音が、相手に聞こえやしないかとひやひやしている上条と美琴。 そんな沈黙が支配する気まずい空間をなんとかしようと、上条がグラスの水をごくりと飲む。 美琴の方は照れ隠しに携帯を取り出すと、時間を確認するかのように画面を開く。 と、 「あ! もうこんな時間! アンタ、セール始まっちゃうんじゃないの!?」 美琴の声に、上条は慌てたように自らの携帯を取り出すと時間を確かめた。 「やべ! 急がなきゃ! 御坂、行くぞ!」 「ア、アンタ先行ってて。お会計済ませておくから!」 「お、済まねえ、後で払うから! ならお前のカバン持って先行くぞ!」 「お願い! すぐに追いつくから!」 ばたばたと喫茶店を出て行く上条を、レジ前に立って横目で見送る美琴の姿は息もぴったりで、まるで長年付き合ったカップルか夫婦のよう。 今日もこうして距離を縮めた二人だった。 「ありがとうございましたー」 そこは2人の馴染みの喫茶店。 ――ちなみにこの半年後、美琴が上条の高校に入学してきた時の出来事はまた別の話。 ~~ To be continued? ~~ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある2人の放課後喫茶店